完全5点グラフが平面に描けないことの証明

言葉の定義

クラウトスキーの定理

グラフが平面的である必要十分条件は,それが完全5点グラフまたは完全3-3点グラフを部分として含まないことである.

完全n点グラフ

n個の点があり,すべての点が相互に辺で結ばれているとき,これを完全n点グラフと呼ぶ.(中略)nが大きいときには(交わりをつくらないためには)立体的にしなければならない.

完全m-n点グラフ

一般にm個の白丸とn個の黒丸があり,白と黒との間をか必ず結ぶようなグラフを完全m-n点グラフと呼ぶ.

完全5点グラフが平面に描けないことの証明

一般に1つの多面体の頂点の数がv, 稜(辺)の数がe, 面の数がfであるとき,次が成り立つ.

v - e + f = 2 (3.1)

全ての面がn辺型(n角形)である多面体の辺の数を数えると,辺の数はn×面の数になるので,

e = nf/2つまりf = 2e/n (3.2)

辺は自身を共有する両側の面でダブって数えられるため2で除する.(3.2)を(3.1)に代入して,n辺形を面荷物立体の頂点数vと稜の数eとの関係を示す次式が得られる.

v - e + 2e/n = 2 つまり e = {n(v - 2)} / (n-2) (3.3)

(3.3)はn辺形を平面に描いたときに点の数と点を結んで交差なしに引くことのできる線の数の最大との関係を示している. 完全5点グラフの場合,n辺形が3辺形,つまりn=3である. このとき3.3は

e = 3v - 6

となり,完全5点グラフの頂点v = 5を代入すると

e = 9

となる.しかし完全5点グラフにはn(n-1)/2本の辺,n = 5なので10本の辺がある.つまりe=9よりも大きいため,完全5点グラフは平面に描くことはできない.

完全3-3点グラフの場合はn辺形が4辺形になることに注意して同様に計算する.


都筑卓司,"トポロジー入門",2019,pp96-102,株式会社講談社