トポロジーとはなにか

円板

円板を考える

  • 円板の周囲の円周を含む-> 閉領域
  • 円板の周囲の円周を含まない-> 開領域
  • 多辺形,凹形板,円錐面,半球面,穴開き球面はすべて円板と同相な面.
    • 円錐側面は同相.円柱側面は同相ではない.
  • 円板と位相が同じ図形では,オイラー標数v - e + fが1になる

ホモローグ

一つの円板面にマルを描く.このマルをどんどん小さくしていくと最後には点になる.

  • このように面の上に描いた円周Sが1点二縮小できるとき,Sは0にホモローグであるといい,S ~ 0と書く.円板と位相が同じ図形の面上に描かれた閉曲線はすべて0にホモローグ.
  • 円柱の側面には0にホモローグではない円周が存在する
    • 円柱の側面には複数の円周を描くことができるが,それらは互いにホモローグであるが,いずれも0にホモローグではない.
      • トポロジーはある空間のベッチ数はいくつか,その空間には互いにホモローグでない図形がいく通り存在するか,ということに関心がある.

アニュラス

  • 穴開き円板(内外の縁を含む=閉領域)を考える.この形をアニュラスと呼ぶ
    • アニュラスのオイラー標数K = v - e + f = 0
    • アニュラス中には0にホモローグなマルを描ける.そうでないマルも描ける.
      • 0にホモローグでないマルは1種類しか存在しない.このようにマルが一組だけ描ける面を一次元ベッチ数が1であるという.

ホモロジー

  • 2つ穴の円板を考える
    • 0とホモローグなマルが1種類,0とホモローグではないマルが3種類できる(各穴を囲む円と,2つの穴を囲む円)
      • これらをS_0, S_1, S_2, S_3として,これらは群を形成する.ホモロジーと呼ぶ

ホモトピー

  • 4つ穴の円板を簡略化していくと田んぼの「田」になる.位相が異なるが,一次元ベッチ数の問題に関しては同じと見て良い.このときの4つ穴の円板と「田」は同じホモトピーであるという.

トポロジーとはなにか

1対1の対応

  • 2つの空間(線・面・立体でも何でも良い)RとR'があって,どちらも点の集合と考える.R内の任意の1点(P点とする)にちょうど当てはまる点がR'の中にあって,これをQ点とする.Qに当てはまるR内の点を探すとPとなっている.
    • 「当てはまる」というのはどんな意味でも構わない.何らかの取り決めによって当てはまることを指す.

空間の連続性

  • Pに十分近い,小範囲の点集合がいつも存在し,これをU(P)とする.U(P)に同じ取り決めで当てはまる小領域がQの周りにあって,これをU'(Q)とかく.このときU(P)内の点とU'(P)内の点がそれぞれ相互に,同じ取り決めで当てはまっているとき,RとR'を位相が等しいという.

同相写像

  • ゴム膜に描いた図形の変形や,射影(投影)による変形は位相を不変に保つ.そのような変形を一般に同相写像という.

    トポロジーとは,同相写像をしても変化しない性質を研究する学問である

  • ややこしい点

    • 円錐側面と円板面,多面体表面と球面は,一方は尖って他方はなめらか.後者を微分可能な面という.位相が同じでも微分可能かどうかを調べる必要がある
    • 位と相を分離して考える必要がある変形(円の内側に棒が出た図形と円の外側に棒が出た図形)
    • 0にホモローグな円周とそうでない円周は異なる
    • 4つ穴円板は「田」と等しい,というように位相が異なっても同様と考える場合がある

都筑卓司,"トポロジー入門",2019,pp114-126,株式会社講談社