円と直線による土地の分割

ベッチ数

零次元ベッチ数

 p _ 0 

  漢字の「二」は

 p _ 0 = 2 
「三」は
 p _ 0 = 3 

一次元ベッチ数

 p _ 1 

「石」は

 p _ 1 = 1 
「月」は
 p _ 1 = 2 
 

ただし,立方体の表面で

 p _ 1 = 6 
ということにはならない.(4章で述べる)

円による土地の分割

  • 平面にn個の円が描かれており,どの2円も必ず交わる
  • 1点で3つ以上の円が交わることはない

このときに円周によってできる面分(面積が有限な面)の数はいくつか

  • 円1つはそれ以外のn-1個の円とそれぞれ2点で交わるので,この円の円周上には2(n-1)個の頂点がある
    • グラフ全体での頂点数は,n個の円があるのでn × 2(n-1)となりそうだが,2つの円から1つの頂点をダブって数えているので2で割ってn(n-1)個が頂点数となる.
  • 円周上の辺(円弧)も頂点と同様に2(n-1)個
    • 全ての辺の数は2n(n-1)本.こちらはダブって数えられることはない.

これらをオイラーの式(平面における)に代入する

  
n(n-1) - 2n(n-1) + f = 1

ゆえに,
  
f = 1 + n(n-1) \tag{3.7}

fの値がn個の円によって生じる面分の数となる.(すべての円の外側の土地も面に加えるならさらに+1する)

直線による土地の分割

  • 平面上にn本の直線が引かれており,どの2本も平行ではない.
  • 1点で3本以上が交わることはない.

このとき平面は何区画に分割され,面分はいくつできるか.

  • 1本の直線に注目すると,それ以外とのn-1個の交点を持ち,それによってn本に分割される.
    • n本のうち2本は半直線,ほかのn-2本は線分となる

直線によって分割された領域の中には,面積が無限大になるものが存在する.

オイラーの式を適用するためにはこれらの無限大の面が不都合なので,非常に大きな円を考えて全ての交点はこの円の中に入ることにする.

  • 全部の交点数は内側にn(n-1)/2個で,円周上には2n個ある.
  • 線の数は内側にn2 個(n本に分割された線がn本あるため),円周上には2n本ある.

したがって,オイラーの式を適用すると

  
\{ \frac{n(n-1)}{2} + 2n \} - (n^ 2 + 2n) + f = 1

ゆえに,
  
f = \frac{n(n+1)}{2} +1 \tag{3.8}

このうち,円周の一部を1辺とする面分は2n個ある(円周上に2n本の線分があるため).これらは円がなければ無限に広いので,これらを取り除くと,

  
 \frac{n(n-1)}{2}  + 1 -2n =  \frac{n(n-3)}{2}  + 1 \tag{3.9}


都筑卓司,"トポロジー入門",2019,pp108-112,株式会社講談社